GISっておもしろっ!

今日は広島のYMCA 国際文化ホールで「中国圏GIS活用シンポジウム」に行ってきた。

とりあえず、遠い!!
もうね、シンポの中にも出てきてたけど、松江〜広島間って遠いんよ、ほんとに。

ただ、行った甲斐はあった。
今まで、GISの効果というか有効性というか、そういったものについては十分に理解があったとは言えず、また理解・認識がどうしてもできなかった。

しっくり来ないと言うか。
うん、で、GISやったら何か良いことあんの?
みたいな感じ。

そんな感じだった僕が、今日のシンポで聞いたことでずいぶんとすっきりした。
あぁ、そっか。そんなに難しく考えなくても、役立つことがあるんだ、有効性はいろんな場面で発揮されてるんだ、と。

シンポジウム本番
  • 国土交通行政の中でのGIS

ということで、国土交通省の大野参事官がGISの歴史から現在の国土交通行政で積極的に活用を図ろうとしていること、GISを理解し、使いこなせる人材育成の必要性などについて言及。

問題は、GISの活用を勧めるのに反して、GISそれ自体が知財となり、流通促進と知財としての価値保護をどう整合を取るのかという点を指摘された。
また、個人情報保護の問題(独居世帯、要介護度等)ではセンシティブな情報を取り扱うことになる。防災等を考えれば、これは当然必要な情報。こうした情報の取り扱いについてまだガイドライン等ができていないのが現状。
最後に、原発施設等の国家の安全保障に関わる重要拠点の情報開示をどうするのか、これもまだないとのこと。
それと、GPSアメリカに依存しているのが現状であることも言及されていた。

GISをもっと積極的に活用してほしい
GISを使いこなせる人材育成が必要
GISの基本となる白図の基準、ルールが必要

  • バーチャル中国GIS

これは中山間地域研究センターの藤山科長と山田専門研究員が報告。
GISの活用事例だね。で、いろんなデータが乗っかってんの。なかなか面白いなーと思った。
その中で、Googleアースを使って各種データをプロットしていて、その中で円柱グラフの表示ができてたりして、へー、こんなことできんだね、みたいな。

改めて驚いたのは、今後中山間地域では高齢化はストップし、高齢者の絶対数も上昇しない。寧ろ、広島市内など都市部においてグングン上昇していく、ということ。
いや、当然なんだけどこれが多分都市部の人には実感されていないんだろう。
だって、今中山間地域に住む高齢者の人口動態はどんどん自然減になっていくんだから絶対数は増えることはない。

○大きな人口構造の変化 → 対応が求められる
○一次的・二次的生活圏・産業圏の整備
○住民意識、生活と地域づくりの必要性
(地域への愛着が高く、移住はあり得ないので、今いるところでいかに満足できるか。そうなると地域づくりが必要)

LLP中国総合GISセンターの和久利さんの説明によるGoogleアースを使ったバーチャル中国GISの実演。

Googleアースでこんなことできるんだね。びっくりした。やり方わかんねー!!!

  • 西宮市の自己開発GIS

兵庫県西宮市からは市の職員が自己開発したGISを使った事例を報告。これが阪神淡路大震災のときに非常に役立ったということ、その後さらなる発展を遂げ、「道知る兵衛」、「地図ナビ隊」といったプロジェクトができていて、住民からも大変好評。

正直、この人の話が一番しっくり来た。GISの持っている可能性をブワーーーーッッ!!と目の前に広げられたような、そんな話が聞けた。
たぶん、会場にいた人の多くは同じように思っているんじゃないんだろうか。
だって、この人の後に発表した広島大学の教授、准教授がそろって、西宮の前に発表しておきたかった、と仰ったからね。

ちなみに、「道知る兵衛」は実演もされたんだけど本当に便利そう!
あれをうまく使えれば、隠岐なんかでもUIターンした人のケアというかサポートができて良いんじゃないだろうか。

○インターネットを介したGISは住民サービスの向上
イントラネットを介したGISは行政の業務効率化
GISは本当に役に立つ。次世代型GISを目指すべき
○経験を踏まえて、ボトムアップよりトップダウンの方が効率的にGISの活用は進む

上で書いた広島大学の教授の報告。

GISにハード的情報だけでなく、人に関わる情報を盛り込んだ。
まだ十分なアウトプットは出ていないので途中経過報告。

○行政担当者の熱意と技術
○住民の理解と熱意
○完璧なシステムより頑健なシステム

※この三つの条件の一番最初が問題かなと思った。
行政は担当が概ね3年ペースで替わって行く。なので、最初の担当者がいくら情熱があっても次の人がそうでなければ頓挫する可能性が高い。

  • 住民は移住する意向はあるのか?

こちらは広島大学の准教授の報告。自分でも、昨年1年間を通じて、自分の考えが間違っていたことが分かった、という内容の報告だった。

簡単に言ってしまえば、行政に予算がないなら交通確保するか、生活関連拠点の充実化か、中山間地域からの移住か*1
特に移住の可能性があるのでは?ということで調査された。
とは言え、実際に住民に住み続けたいかどうかを聞いたのは大きいのかなーとは思う。
結果は、65歳以上の人で「移住を検討する」と回答した人は10%に満たないくらい。
この結果は個人的には「そりゃあ、そうだろう」というものだったけど、この准教授にとっては意外だったらしい。

※ただ、こういう今住み続けている人がそこに愛着を持って住み続けたいんだ、と意思表明しているから支援しなければいけない、投資しなければいけない、という文脈に持っていくには弱いよなぁ。
やっぱり、中山間地域を支援していくことが日本全体の利益につながる、そういう文脈で説明し説得できないと都市部の人に理解は得られない。

*1:「撤退」という言葉は使われなかったが、ニュアンスとしては「撤退」を意図していたように思われる。