これでジオパークも認知度が高まるかな
有珠山・糸魚川・島原半島「地質の世界遺産」に
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20090823-OYT1T00353.htm
8月23日付けで、洞爺湖・有珠山(北海道)、糸魚川(新潟)、島原半島(長崎)の3地域が「世界ジオパーク」として認定されました。
上記リンクの表現では「世界遺産の地質版」としての紹介ですが、厳密には異なります。
目的の違い
世界遺産は、保全を目的とされていますが、世界ジオパークにとっての保全はあくまでも目的の“ひとつ”です。
世界ジオパークには、教育や地域振興のための「活用」も目的として備わってます。
なので、世界遺産では難しい地域資源を活かすための例えば開発なども国内法の範囲内で可能となり、リンク先にもあるように地域の振興への寄与が期待されます。
認定された3地域では「地域の活性化に結びつく」と歓迎。
世界ジオパーク≠世界遺産の地質版
上にも書いたように、世界遺産の地質版という表現は正確ではありません。
目的がそもそも違うということに加え、「地質版」という表現がちょっと微妙な気がします。
と言うのも、世界ジオパークおよび日本ジオパークは、たしかに地層・地質、地形といった地域の地盤が希少であったり、価値があるものであることが必要ですが、それだけでは不足しています。
簡単に表現すれば、ジオとは地盤であり、地球です。そして、その地盤の上で長い時間をかけて構築されてきた人々の生活様式、地域の独特の文化*1も含めた幅広く、懐深く構築された地域が「ジオパーク」となり得るのです。
国内では認知されていない
これが多分一番大きい気がします。寧ろ、この点を何とかしない限り、上記2点の違いが活かされることなく、埋没してしまいそうです。
世界ジオパークが行って見る価値のあるもの、という一種のブランドとして構築されなければ、いくら「世界ジオパーク」と騒いでも、活性化のための効果は薄いでしょう。
今後は、どうやって世界ジオパークを国内に広め、認知してもらえるかがキーになってくると思います。
*1:例えば、水が美味しい、水が美味しいから米が旨い、米が旨いから酒が旨い、といった食文化の形成もあるでしょう