天地人が終わって

今年の大河ドラマはいろいろと言われていたけど、ついに最終回を迎えました。

天地人が最終回を迎えて、ようやく一つのことを認める気になりました。
それは、役者さんたちの素晴らしい演技。これだけ。

演技で持った大河ではないかな

あのよくわからん髪形にはずーっと違和感を覚えていたけど、最終回では見慣れたのか、妻夫木聡が少しずつ40代、50代くらいに見えるかなーと思えてきたからか、違和感がなくなってきた。

個人的に気になるのは、上杉景勝です。
兼続が万能感に溢れ、上杉家執政として内政から外交まですべてを一切任せた景勝様は上杉家当主としての業績をほとんど描かれませんでしたが、北村さんは先代当主、謙信公を乗り越える壁として苦悩する演技を見せてくれました。
すばらしかったと思います。

石田三成を演じた小栗旬もよかったと思います。
登場したてのあの髪形はよく分からなかったけど、五奉行五大老制度立案から関が原までの凛々しい三成は小栗旬の演技もあり、魅力的な人物になってたように思います。
ただ、清廉に過ぎたかな、とも思いますが。

徳川家康伊達政宗はひどい。家康に限ったことじゃないんですが、あれだけずーっと嫌なヤツ、義もなく天下を簒奪した男、記号的悪役として描いておきながら、最終の2話ほどでころっと変節。
松方さんのすばらしい演技もあれでは虚しくなってきました。
あと、独眼竜。このドラマの中での立ち居地というか、何のために出ていたのかわからん。
一瞬、兼続のライバル的なポジションかと思ったら、次のターンには味方になってて最後は仲良しって。

脚本がクソ

やっぱり脚本にはがっかりしましたね。
結局、最初から最後まで直江兼続の考え方、行動こそが正義で、それと対立するものは皆悪であるという描き方はあまりにも稚拙で、子供だましもいいところでしょう。

正直、視聴者を舐めてるな、と感じました。
善悪二元論にたって描いたほうがわかりやすいでしょ?
みたいな制作側の偉そうな姿勢が伝わってくるようで。
以前ならまだしも、人間が善悪両方を持っている存在であること、完璧な人間などいないことは理解されているんではないでしょうか。
だからこそ苦悩し、葛藤し、それでも決断していかなければならない人たちがいて、見事な生き様、死に様だったから魅力を放っているのに、綺麗な様だけを見せて、この人はこういう人でした、と言われてもまったく魅力は感じませんね。

ぶっちゃけ、最終回を見るまでは兼続嫌いになってましたから。上杉家一同も。
なんでこんなに奇麗事しか言わないのか、まったく理解できない。
清濁併せ呑む度量があるから執政として上杉家を任されたのではないのか。まったくバカにしている。

それに、真田幸村。ひでーーーーっ!!
家康を追い詰めるとかまったく描かれないとか。単に幸村を出したかっただけじゃないのかなと。

で、最上を出さなかったのはどういう理由からなんだい?
まったく。ふざけたことを。

もうね。綺麗な兼続はいらない、ということですよ。
もっと人間的な深みというか、綺麗も汚いもあってはじめて人間になるんじゃないかと思うんですよ。
もしかして脚本は直江状で汚いが描けた、とでも思ってんのかね。

あ、最終回になぜか出てきた真田の娘、いらねーだろ。
それと、子役が人気になったからってもう一度出演させる感性。どこかずれてるなー。

この兼続は大失敗でしょう。こんな兼続を好きになる人って子どもくらいじゃないの。