木を扱うということはどういうことなのか

昨日はとある中山間地域へ行き、簡単な打ち合わせと木工作業に従事。

どっちがメインか?と聞かれると困るんだが。

杉の加工

とりあえず、着いて早々この日の作業内容を聞いたんだけど、山ほど積んである杉を加工して販売につなげたいということだった。
昨年度もいろいろと教えてもらい、お世話になっていた大工さんを先生に2人の生徒として参加。


こういう、一見汚れきっている杉をちょっと手を加えてやると見違えるほどきれいになり、良い木目が出てくる。

その過程を簡単に追っていく。

えーっと。ごめん、機械の名前がわかんないけど*1これで好みの厚さにそろえて行く。

  • 注意点*2

ちなみに、ここで注意しなければならないのが、木うら・木おもてということと、木の上下。
これをきちんと把握して処理しないと、せっかくの材が痛んでしまう。
たとえるなら、人のつめを上からなでつけてもつめも指も痛まないのに、つめをしたから引っ張り上げると、簡単にはげてしまい、つめも指も痛くなるよね。つまり、木もそういうことなんだよ。

そうなると、特に建材では注意しなければいけないようなんだけど、木が腐りやすくなる原因の水を取り込みやすくなってしまうことがあるんだそうな。

あと木うらと木おもて。

  • 木おもて……木を上から輪切りにすると ◎ の形だよね。*3

これの外側の円に近い、つまり木の皮側(外側)を木おもてと言う

  • 木うら……木の外側を指す木おもてに対して、中心部側(内側)を木うらと言う。

個人的には木うら・木おもてについてはだいたい分かるようになったんだけど、木の上下がはっきり言っていまだに良く分からない。
んなわけねーだろ!ってヤツ、何枚も何枚も見てみれば良い。わかんねーから。



これも使う機械は同じなんだけど、主に材の側面なんかを水平にするもの。
これを使っている最中のケガというのは非常に多いそうで、指なんかは簡単に飛んでくらしい。


そうすると、こんな感じにそろってくる。
もう少し近づくと木目がきれいに出ているのが分かる。


最初の写真の材がこうなるんだよ。
木ってきれいだなーと思うわけ。

で、問題はこれを使って何を作れば売れるんだろう?ってこと。
せっかくの木目は活かしたいんだけどねー。
これが定まらなかったので、杉の加工はここでいったん休憩。

次は桜とケヤキを加工してみた。

桜の木はきれいだーよ

先生からは「何に使うか決まってなーなら、加工しようがなーで」との言葉をいただき、「それならこの辺の木を磨いて売ったほうがよっぽど売れるで」とアドバイス
と言うことで、加工の見本を見せてもらい、桜とケヤキを加工して玄関や床の間に飾るような一輪挿し、花瓶などの台座とすることに。



まずは既に輪切り状になっている木をサンダーを使って磨いていく。
写真がぶれてるんで分かりづらいけど、このサンダー先生は簡単に扱ってるように見えて、実はけっこう重い。重い上に、サンダー自体の振動が相俟って片手だとすぐに疲れて手が言うことを聞かなくなる。
あ、ちなみにこのサンダーでは木の皮の部分を飛ばしながら磨いていく。
大きな写真だと良く分かると思うけど、まだ皮が残ってる部分と磨いた部分、はっきりと違いが分かる。



平たい面についてはペーパーサンダーで磨いていく。これは作業的にはけっこう楽。
ペーパーサンダーでは、2段階くらいで紙ヤスリの荒さを変えて磨いていく。



最後の仕上げとして、木材用のワックスを塗り手で磨き上げる。
後は乾いた布で力と思いを込めて磨いてやるとドンドンきれいになるらしい。

最後の完成状態を撮影するの忘れたのでしまったなーと思ったんだけど、僕はケヤキより桜の台座が気に入った。すごくきれいで良い味が出てるんだわ、本当に。

おまけ


これが何だか分かるかな?
昔の山師さんの道具で、山で切り出した木をこれに載せて背負って下りてきたらしい。
僕はこれ見て、てっきり2本のつっかえ棒のようなものに大して垂直に置く、つまり横になが〜くなるような積み方だったんだろう、と推測した。
ところがそうじゃないらしい。そうではなく、正解は前後に積んでいたそうだ。
その理由は、横にして積んでいくと当然のことながら横に広がるので、木がたくさん生えている山の中では身動きが取れなくなるから。それよりは前後に積んだほうが自分自身が動きが取れるから。

先生は昔は240キロくらい背負っておりることもあったとか。大人四人分背負っておりるとか……。
曰く「昔の人はすごかったんだけぇ」

電柱(木柱)を背負っておりたこともあるそうで、ポカーン状態。何この鉄人は、みたいな。


さて、もう一個。

これは今でも動くことが確認できたんだけど、丸鋸*4
昭和34年に作られたもので、当時の林業の様子がうかがい知れる貴重なもの。
なんと、当時の林業はこの鋸一式を里で一度解体して、それらを担いで山に入って行き、ちょっと平らなところを見つけてそこで組みなおして使っていたそうだ。

なんちゅう重労働。。。

かっこいい大人が中山間にはいるんだよ

なんというか、こういう里山で暮らしている人たちのものを見る目、使う力、作る技術ってすごいよ。

正直、普段林業や大工に憧れや関心を持つことって多くはないけど、こうして話を聞きながら、技術を教えてもらうと「あれ?俺にもできるんじゃね?もう少しいろんなもん作ってみてーな」と思ってしまう。
それくらい山の魅力、木の魅力を教えてもらえるし、そういうことを知っている大人がかっこいい。

久しぶりに昨年度の活動を思い出して楽しい一日となった。

*1:というか、去年聞いたんだけどど忘れ…

*2:詳しいことは専門サイトでどうぞ

*3:中の円は年輪だと思って

*4:で良いのかな?わかんない