全国空き家活用シンポジウムin江津に参加(なんとか2日目)

今朝は5時に起きて、6時に松江を出発。ちょー眠い。。。
が、シンポジウムの間は普通に話を聞いてましたよ、えぇ聞きますとも。
帰りがやばかったけどね。

基調報告 「空き家の実態と地域課題〜江津市全戸調査の結果から〜」 作野広和氏(島根大学教育学部准教授)

島根大学の作野先生とその研究室が2006年度、2007年度に江津市で実施した民家の全戸調査結果について報告。
とりあえず、2年間で11,000戸余を調査したというのにまず驚いた。
去年、僕らが調査したのは80戸程度……。うーむ。いろいろと反省点はあるが、まぁ、単純に件数だけ比較してもしょうがないし、気にせず行こう!

まず、作野研究室で調査したのは、あくまでも分布調査であり、空き家の定義もあくまでも外観から判断したものだということで、これは僕らが去年やったのも同じような形を取っている。
なので、作野先生があれだけ何度も繰り返し、外観から素人が住めるか住めないかを判断している、と伝えたのは理解できた。
あれ、言っておかないと本当に不安になるんだよ。だいたい、働き盛りの男性がみると、これは誰がどういう基準で空き家と決めたんだ、とか何とか言い出すから。
そういうのはないですよ、学生が自分たちで見て、考えて空き家だと判断しましたよ、とあらかじめ伝えておく必要はあるなぁ。

報告の中でひとつ意外だったのは、空き家の所有者が空きやをセカンドハウス的に利用するケースも少ない、ということ。
てっきり、墓参り(盆)や正月にはそこに寝泊りしているんだと思っていたけど、どうやら少なくとも江津市ではそういうケースはレアなようだ。
ただ、墓の手入れは非常に丁寧にされているらしい。微妙な心理があるんだろうと思う。祖先を敬う、畏れる心理だろうか。

また、今後は所有権よりも利用権の設定を考えていく必要がありそうだ。所有権を手放すというよりは利用を進める、この方が心理的ハードルが低いということ。

最後に、明治大学の小田切先生の言葉を紹介して終わり。

心の再建・誇りの再建が必要

男性はよく、地域活性化と言うと「経済効果」を指摘するが、本当にそうなのか?
そうじゃない暮らしにこそ誇りや愛着がわいてくるのでは?

これは僕自身、いつも揺れているところで、たしかに、経済効果というのは大きな目標だし、なくても良いと言い切れるものではない。逆に、「仕事」があれば人を呼び込めると思うの?と聞きたいところでもある。
本当の誇りや愛着ってそこじゃないんじゃないの?って思うわけだ。

川根での一コマを思い出す

先日、川根振興協議会に行き、辻駒さんにお話を聞いたけど、こんなことを仰っていた。

自分らは、これからもこの地域で生きていかなければならん。その地域を愛していなければ生きていかれん

この言葉には、仕事や経済効果というのは入っていない気がするんだよね。

辻駒さんには交流会の席で聞いた。
「こういう地域振興という場面では、経済効果を性急に求めるが、どう考えるか」と。
答えはこう。
「それは必要。くぇ尾R食えうRQRPQQ:いぢおあえらお」
えーと……。酔ってて後半覚えてねーーーーーっ!!!!  orz
あふぉです。

江津市の施策紹介」 中川哉氏(江津市建設経済部)

江津市の定住施策紹介。以上。
ではダメだろう。
基本的には、多様な主体がそれぞれ役割分担をして江津市の空き家利用を推進している、という紹介。
とりあえず、フェーズごとに整理。

  • 空き家調査・登録

主体は行政。行政じゃないと、所有者さんの信頼が得られない。
民間事業者・NPOでは、所有者さんはだまされるんじゃないか?という気持ちも強いのか、「まぁ、考えとくよ」で数ヶ月放置も当たり前。一方、行政なら話が早い。

  • 移住・滞在相談と情報提供

主体はNPO。これは、相談に行政がすべて対応することは実質不可能ということ、またNPOが実績を積んでいることなどが要因。

  • 空き家の契約

主体は宅建業者。そりゃぁ、そうだろう、というとこ。きちとした業者でないと、後が怖い怖い。

江津市としての空き家利用の意義は、

  1. 人材受け入れに効果を発揮する
  2. 地域活性化の一助

など。

パネルディスカッション

このパネルディスカッションが変わってた!はじまりはいつも雨、じゃなくて、始まりから変わってて、登壇者が最初からイスに座っているのではなく、それぞれ自己紹介がてら、自分たちの取り組みなどを紹介して登壇。

パネリストはこの方たち。

  • 河部安男氏(NPO法人結まーるプラス)
  • 佐藤彰啓氏(ふるさと情報館)
  • 釜瀬隆司氏(江津市建設経済部)

そして、会場からの投げかけ・質問には本当に多様なものがあった。
例えば、瑕疵担保責任に関わるような問題や、移住を希望する人の視点からほしいと思う情報、新潟県では地域に残るのか、出て行くのか選択を迫られている実情なども紹介された。

移住を希望する人は、物件を写した写真はよくあるが、「物件から見える景色」を紹介した写真はほとんどないので、紹介してみてはどうか、といった提案や地域の標高がほしい、地形図を使った地域紹介も有効だという話。

個人的には前の2点は理解できるし、良い提案だと思うけど、地形図を使った地域紹介というのは、「ないな」と思った。
まず、地形図を呼んで地域の特性が分かる、という人がおそらく圧倒的に少ない。女性蔑視じゃないけど、女性だとさらに減るんじゃないか。今回のシンポでも出ていたが、夫が帰ることを希望しても妻が拒否する、というケースが多いということなんだから、セオリー的には、妻の説得材料を補強すべきであって、この方個人がほしいと思う情報をすべて用意する必要はないだろうなと。

あと、農水省所管法人から来たという方。統計データを鵜呑みにするな、という指摘。
たぶん、あのデータを扱っている人誰もが、鵜呑みにしてないだろうと思いますよ。
ただ、そういうデータもあるよ、というくらいで中山間のある意味ではPR材料として使わせてもらってる、その程度の認識で良いと思った。
たしかに、僕も聞いてて「そのデータ、本当に信じてないよな?」とは思ってたけど。

パネルディスカッションの最後に、作野先生が次の3点にまとめていた。

  1. 空き家活用は「量」から「質」へ
  2. 空き家活用は「手段」であって「目的」ではない
  3. 空き家活用を含めた地域マネジメントの構築


・量から質というのは、誰でも良いから移住してというスタンスから、地域を愛する人、地域に溶け込み、一緒になって地域振興に取り組んでくれる人に来てほしいということ。


・手段の目的化は、空き家の活用はあくまでも地域振興の一手としてであり、空き家の活用そのものが目的化すると、どこかで齟齬を来たすということ。


・地域マネジメント構築は、島根県が実施している地域マネージャーや、総務省集落支援員、あるいは新たな結などがイメージされる。


総括して、多様な手段と主体を選択・連携することが大事である、ということ。(作野先生)


最後に、シンポ参加者一同ということで、施策提案を採択して終了。


あー以上。終了。2日目、手抜きになったけどおわったー。
眠い。5時起きだよ。普段、6時半起きの人間が。
最初にも書いたけど、2日目の方が興味深い話が聞けた気がする。

ただ、現状でぶち当たってる問題は、空き家の調査、所有者の意向把握とデータベース化の部分だったので、今回の話は今後の社会実験的利用の時に参考になるかなと思う。

おまけ

昨日に引き続き、我が家のローカルアイドル?堀江さんが来ていたので、ちょっと遠目から撮影*1してしまった。

この写真で、誰が「堀江さん」なのか分かれば、あなたも堀江アナ通。


プログラム

 ○記念講演 「民家を生かして地域再生を」
  筑波大学大学院教授 安藤邦廣氏

 ○空き家利活用の事例報告
  1.民宿・温泉と連携した“田舎料理の店”
    (島根県美郷町 ゆるりの里 前田祐子氏) 
  2.民家だからこそできる福祉・介護
    (群馬県高崎市 NPO天の川 飯島龍一郎氏)

  3.「民家トラスト」設立の呼びかけ
    (NPO日本民家再生リサイクル協会 大沢匠氏)

 ○総括ディスカッション
  コーディネイター:安藤邦廣氏
  討論者
   ・作野弘和氏(島根大学教育学部准教授)

   ・山城滋氏(中国新聞社論説主幹)

   ・佐藤彰啓氏(ふるさと情報館代表)

  • 2日目 テーマ:定住促進のための空き家流動化の施策提案

 ○基調報告 「空き家の実態と地域課題〜江津市全戸調査の結果から〜」
  島根大学教育学部准教授 作野広和氏

 ○江津市の施策紹介
  「多様な主体の連携による空き家活用」
  江津市農林商工課総括主任 中川哉氏

 ○パネルディスカッション
  「空き家利活用促進にむけた問題解決と提案」
  コーディネイター:作野広和氏
  パネリスト
   ・NPOによる空き家活用と定住化への誘い
    河部安男氏(NPO結まーるプラス理事)

   ・空き家仲介事業を踏まえた課題と提案
    佐藤彰啓氏(ふるさと情報館代表)

   ・空き家流動化の促進と法制度の提案
    釜瀬隆司氏(江津市経済建設部部長)

*1:悪気は一切ございませんが、この写真に問題がありましたら即刻削除します。コメント欄にお願いします。。。