インソムニア

アラスカ州、白夜のまちで眠れなくなった男の話し。『インソムニア』とは「不眠症」を意味するそうです。

あらすじ

殺人課の刑事ドーマーはアラスカの田舎町で起きた少女の殺人事件解決のために、相棒ハップとともにやってきた。証拠の偽装、内務監査、相棒ハップの存在、殺人犯。さまざまな心の重荷から、ドーマーは白夜のまちで眠れなくなっていく。
エリーの「優秀な刑事は“謎”で眠れなくなり、悪い刑事は“良心”で眠れなくなる。あなたの言葉です」という言葉が眠れないドーマーに突き刺さる。

シンクロ

奇しくも?僕自身は昨日から体調が悪く、ずーっと眠気と戦ってまして、そんなときに『インソムニア』を見ると、うーん。主人公の眠れない辛さが少しは分かった気がします。
特に、ラストに目がけてドーマーが広い道路をぶっ飛ばすシーン。
あのワイパーの動きにボーッとしていく感覚、よく分からないけど前から車が来た!と思って焦る感覚。すべて見に覚えがある。

静かな狂気

主人公ドーマーを演じるのは、名優アル・パチーノ。この人は本当にすごい。大好きな俳優です。はじめに『ヒート』でアツい刑事ハナを見て、『フェイク』で哀愁のあるマフィアのボス、『スカーフェイス』では破滅的なトニーを見ましたが、いいですね。
この作品でも、白夜のまちで過去に手を染めた証拠偽装、相棒を撃ち殺した自分、目的は手段を正当化するのか?自分でもわからない感覚によりついには6日間も眠らず、静かに確実に、狂気と正気が混濁してくる。

そして、17歳の少女を殺した殺人犯フィンチには、人の良さがにじみ出るのに狂気を感じられるロビン・ウィリアムズ
この人は日本でいうところの、西田敏行だと思うんだけど、なかなかいい感じに静かな狂気を感じさせてくれています。三流の小説家と言われつつも、したたかにドーマーを追い詰めていく。

またもう一人は、ヒラリー・スワンク。『ボーイズ・ドント・クライ』でアカデミー賞受賞したスワンクは本作では、アラスカの刑事を演じ、尊敬するドーマーの証拠の偽装に気づき、告発するべきか悩みます。

目的は何 手段は何 正義とは

以前、映画館で見たんですが今回はテレビで鑑賞。当時気付かなかったことにもいくつか気づいたことがあり、年齢を重ねるというのはこういうことか、とふと感慨深く見てました。
どこか破滅的なドーマーはロスではどんな刑事だったのか、そんなバックボーンがもう少し見えてくるともっと人間的な厚みが出てきたのではないかな。
ラストで、ドーマーがハップを撃ち殺した証拠の銃弾をエリーが捨てようとしたその時、ドーマーは自分を取り戻すのです。

"道を踏み外すな"

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