社会とは何か システムからプロセスへ | 竹沢尚一郎

社会とは何か―システムからプロセスへ (中公新書)

社会とは何か―システムからプロセスへ (中公新書)

先日、出張中に時間があったので『社会とは何か』と『行動経済学』(依田高典)を買ってみた。

『社会とは何か』から読み始めているけど、まだほとんど読み進んではいないけど、「はじめに」部分だけでも簡単に整理しておく。

日本の「社会」

戦後50年にわたり経済発展を遂げてきた日本において、その主体となったのは「社会」ではなく、あくまでも「企業」だった。しかし、近年停滞している経済状況に対応するセーフティネットは構築されず、閉塞感に覆われている。

打破する一つのキーワードとして、外国人移民受け入れ政策などが議論されているが、文化の異なる彼ら外国人を受け入れ共生するための文化的・社会的な枠組み、仕組みも構築されていない。

ヨーロッパの「社会」認識

ジョック・ヤング*1の分類

包摂型社会とは何か、引用するとこうなる。

社会は勤労を通じて生活の向上と安定の確立をめざすという共通の価値によって人びとを統合する「包摂型社会」

排除型社会とは何か。

所得格差や文化的差異によって社会が分断されている現実

ここで言う「社会が分断されている現実」とは、ヨーロッパで巻き起こった外国人労働者の排斥運動のこと。
ヨーロッパ諸国は外国人労働者を受け入れることで経済的発展を遂げてきたにもかかわらず、経済成長が停滞すると、“真っ先に首を切られたのはかれら海外からの移民労働者であった。”

こうした状況は日本でも起きうる。というよりも既に起きている。

島根県では斐川町で大企業の工場などが稼働しており、中国人労働者、ブラジル人労働者などが務めている。
しかし、一昨年のリーマンショック以降、企業の業績が下降した途端に人員整理が入り、やはり真っ先に首を切られたのは彼らであった。

包摂するのは誰か

著者は「排除型」ではなく「包摂型」こそ暮らしやすい環境であるとする。
そして、包摂する単位こそ「社会」であるという。

一方で、「社会」という言葉の曖昧さをとらえ、社会とは観念であるという。
著者によると社会とは

明確な境界のあるシステムではないし、自律的な単位でもない。それは、歴史的存在としての人間が、他者とともにより良き集団的な生を築くにはどうしたらよいかを考え、それを実現しようとして作り出した観念

であったと結論づけている。

本当に読みたいのはもっと先

はじめにで大枠は把握した。
でも読みたいのは2章(ミシェル・フーコー,統治性)、3章(サン・シモン,フーリエ,コント,デュルケム,社会的連帯)、5章(コミュニティ,社会,公共圏)かなぁ。

*1:イギリスの社会学