日本の統治構造 官僚内閣制から議院内閣制へ その1

飯尾潤氏のこの本。昨日から2周目に突入中。先週の段階で一回読み終わったんだけど、十分に理解できてないなーと思ったことと、福田内閣終焉→麻生内閣誕生というタイミングもあり、もう一度、次は咀嚼しながらゆっくりでもいいから読んでみようと思う。

日本の統治構造―官僚内閣制から議院内閣制へ (中公新書)

日本の統治構造―官僚内閣制から議院内閣制へ (中公新書)

この本の目的意識は次のところにある。

日本政治の何が問題か、どこをどうすれば、もっとよくなるのか――。この疑問に正面から答えるのが、本書の最大の目的である。

そのためには、現在の日本の政治体制がどういったもので、どういう現状にあり、どんな課題を抱えているのか、またポテンシャルとしてどんなことができ得るのかなどを明らかにしていく必要がある。

政治体制 -議院内閣制と大統領制

まず、そもそもの政治体制について触れている。
筆者も書いてて、僕も当てはまるんだけど議院内閣制より大統領制の方が、責任者(首相)に権力が集中しやすく、迅速な対応、ダイナミックな意思決定を取りやすい体制である、と思っていたけど、それは間違い。というか、誤解。

なぜか?

それは、大統領制は二元代表制であり、議院内閣制が一元代表制である、ということ。

大統領制は、大統領と議会がそれぞれ別個に選出され、そのどちらもが民意を反映した正統性を持っている。
つまり、大統領も議会もどちらも「正しい」ということになり、「二元」代表となる。

一方、議院内閣制はというと、議会が民意により選出される。この時点で、議会は正統性を持っている。
そこで、正統性を有した議会により内閣が成立するので、内閣もまた正統性を持っており、しかも一元的に集約されているので、「一元」代表となる。

要するに、日本の政治を制度から考えると、明らかに権力集中的な制度となっていることが分かる。

筆者は次のようにまとめている。

では、議院内閣制のもっとも重要な特質は何か。それは行政権を担っている内閣が、議会の信任によって成立していることである。

日本国憲法制定による民主化とは?

戦前と戦後の政治体制について民主化をみると、衆議院(民主的に選らばれた勢力)の位置づけで判断することができる。

戦前は、選挙で選出される衆議院の権能はきわめて限定的であった。

戦後は、選挙によって民主的に選ばれた勢力(衆議院)に権力が集中された。

日本国憲法制定で民主化されたということは、議院内閣制の採用によって、民主的に選ばれた勢力に権力が集中したという点につきる。

ざっくりまとめると、権力集中の対象が戦前の上院から戦後の下院に移り変わったということであり、それを支えたのが日本国憲法において採用された「議院内閣制」であった。

そして、ここで言う「議院」とは何かということについて筆者はこう言う。

あらためていうが、この議院内閣制の「議院」とは、組織としての「議会」のことである。

と。

麻生内閣はどうなるのか

この本を読みつつ、当面の麻生内閣の行方と照らし合わせてみていこうと思う。

個人的には、麻生さんの意欲が見えて期待したいなという思い。
農水相には石破さんが選ばれたので、ここにも期待。だけど、当面は事故米の処理だの何だので「攻めの農政」は難しいかな?