食料とエネルギーどちらが先に火を噴くのか

食料自給率38%、エネルギー自給率4%(原子力を含まない)。
いま、問題になっているのはこの二つの自給率の低さだろうと思う。
では、どちらがより問題が大きいかを考えてみると、個人的には単純に、エネルギーが先に来るだろうと思っている。

食糧自給

まず、食料自給。
数少ない平地や中山間地域など、現在耕作放棄されている農地を仮にすぐに使えるとしたら(実際にはそんなに簡単ではないけど……)、食料を生産することは何とかできるかもしれない。
もちろん、耕作放棄地の解消を勧めていくことが前提条件になるけど。

が、問題なのは、現在の農業は基本的に機械化を前提に構築されているということ。
機械を使うということは、つまりエネルギーを使うということで、エネルギーがなくなれば今のような効率的な生産はできなくなる。

ただ、少なくとも何らかの事態が起きて、外国からの輸入が完全にストップしたとしても、都市部ほどに地方は困らないだろう。それくらいの地域力を持っているのが今の地方であり中山間地域である。
懸念材料としては、昭和一桁世代の持っている知恵、ノウハウが失われていくことか。誰かが、一人の老人の死は図書館ひとつの喪失と同義である、みたいなことを言ってた。お年寄りの長い人生経験で得たノウハウ、知恵というものを僕も含めて若い人間は軽視しすぎているのかもしれない。

エネルギー自給

もうね、ほぼ完全に輸入に依存してるから厳しいよね。
今、国内では木質バイオマス、海草エタノール、菜種油等々いろんな方法が試みられているんだけど、まだ十分な成果というのは出ていないように思われる。
ひとつ、視点として重要なのは、国内全部をまかなうということを考えるより、まず小さな地域でのエネルギー自給率を高めることを目標として取り組むことが大事なんだろうな。
要するに、食料とエネルギーを含めて、いざというときには自活できる「自給圏域」を構築すること。

自給圏域という考え方

この考え方は、知り合いの研究員さんから聞いたもので、聞いた当初は正直、ピンと来なかった。
その原因は、僕が中山間地域の状況、疲弊も高齢化もそうだけど、実は力強い高齢者がいて、農業生産のノウハウや農地のポテンシャルなど「攻め」の面があるということを十分に認識または理解していなかったからに他ならない。この点はまだまだ十分ではないけど、少なくとも1年前とは驚くほど認識は変わっている。

まぁ、この自給圏域。狭い範囲でもいいと思う。昭和の合併くらいの町村でも良いし、小学校区、中学校区くらいの範囲でも良いと思う。とにかく、そういう小さな範囲でエネルギーを生産して、そのエネルギーを使って農機具を動かし、冬は暖房に当て、1年間外部のリソースに頼らない生活ができれば、ものすごく強い地域になれるんだと思う。

観光

そうなると、僕が今まで主にかかわってきた「観光」関係はどうなるんだ?ここが最近ちょっと自分の中で答えが見えてない。
でも、これも大事なことなので、今までどおり全力で応えていきたいと思う。
たとえば、エコというキーワードでつながるのかもしれないし。