農商工連携の事例 2選

今日は農商工連携に取り組む島根県内の企業2社を視察してきました。

事例1 枝付き干しブドウの生産・販売

一つは出雲市で枝付き干しブドウやあんぽ柿、トマト生産に取り組む連携体。

連携体の構成企業は下のとおり。

このうち、主に説明していただいたのはキョーワガスの社長。

農商工連携のきっかけ

出雲ではデラウェア等のブドウの生産が盛んな地域ですが、生産するブドウのうち規格に合うのは7割程度で、残り3割はどうしても規格外となってしまうことから、何とかこの3割をうまく販売できないか?と考えたということです。

ところで、レーズンはワインに合うということからつまみとして重宝されているようですが、そのほとんどは輸入品。
しかも、枝付き干しブドウというのはほとんどないそうです。
ここに目を付けて、3割の規格外品を干しブドウにしたら売れるんじゃないか?と考え、農商工連携がスタートしたとのことです。

強い引き合い

平成20年(2008)からはじめ、今年は勉強の年だと仰っていましたが、実際、3割の規格外品を干しブドウにしても、やはりそれはそれなりの商品価値しか持たないということが分かってきたということです。
干しブドウに加工するにしても、規格品の方がやはり価値がでる、と。
ここはなかなか難しいところだなーと感じました。

でも、引き合いはかなり強く、生産が追いつかないということで、もし商品があれば買ってみたいとおもってましたが、残念ながら買うことはできませんでした。

事例2 芳醇な香りのバラをコアに事業展開


二社目は、県の真ん中に位置し、僕の生まれ育った町でもある大田市の大田緑地さん。
ここは20年も前から香りが強く、「真紅」のバラの生産開発に着手し、ここ数年で一気に多種多様な商品に結び付けている会社です。
バラ生産に関しては奥出雲薔薇園として取り組まれているようです。

開発のきっかけ

もともと、造園業を営まれているので農業との関わりがあったこと、造園を通じて「お客さんには香りの強い花が似合うなー」とか「ここに真っ赤な花があるといいなー」と思っていたそうです。
そうしたことが積み重なり、香りと色にこだわったバラ「さ姫」が誕生したそうです。

バラ生産の苦労

僕は知らなかったんですが、一般的にバラは虫がつきやすかったりして育てるのが大変難しく、大半は農薬などを使うそうです。
中には、こうした農薬まみれのバラが「バラ湯」として使われているケースもあるそうで、良く知っている人は「農薬まみれの風呂には入れない」と言われるそうです。

極上の香り さ姫

しかし、大田緑地のバラは一切農薬は使わないということでした。
と言うのも、「食べられるバラ」づくりを基本としているからで、実際バラの花弁を食べました。
バラティーもいただきましたし、バラのシロップもいただきました。

写真奥から、食用の生花、バラ水、切花です。
下の写真がバラのシロップです。


一言で言えば、本当に香りが強い!

このバラは「さ姫」という商品名で販売されています。

花弁はちょっと苦味があったんですが、これはポリフェノールの苦味だそうで、花弁自体は糖度が12度くらいだそうです。ちなみに、これはスイカと同じくらいだそうですよ。

バラを蒸して、水蒸気を冷却させて得るバラ水のサンプルをいただきましたが、これも香りが凝縮されていていい香りでした。

本物が生き残っていくのかな

枝付き干しブドウも、馥郁たるさ姫も、どちらも「本物志向」、「高級志向」のお客さんをターゲットとし、実際にブドウではサントリーが、さ姫では東京の一流のシェフやホテルがその味や香り、品質を認めているそうです。

大量生産・大量消費・大量廃棄の時代はやはり20世紀で終わり、「本物」が生き残っていく時代が21世なのではないでしょうか。

大田緑地さんでは、相手が「高すぎる」と言うのなら縁がなかったということで無理に安くしないということでした。


こういう「本物」を目指す取り組みを僕も仕掛けていき、何とか力になっていきたい、改めてそう感じました。
自分たちでガンガン進めておられる姿を見てその機動力や勇気、ロマンチックな思想に僕の至らない点を見せ付けられたような気もしています。

大変、良い経験を得ました。


最後の写真は昼食で寄った道の駅キララ多岐から撮影したものです。
キララは県内の道の駅でもかなり優良な駅だと思います。