地域マネージャー

総務省では集落支援員島根県では地域マネージャー。

どちらも高齢化・小規模化した集落に外部から若い人材が入り、地域の住民と話をし、地域の運営に就いて地域の存続と活性化に取り組むというものです。

が、正直難しいです。

地域とのつながり 方法論がない

まず、外部から入ってくる人材が地域とどう結びつきを作っていくのか。
この方法論が確立していないんです。なので、現状では地域マネージャー個人の資質によるところが大きく、シャイな人、引っ込み思案な人だった場合、濃い人間関係の中になかなかスムースに入っていくことができません。

役場の存在感

地方では市町村役場と支所・出張所、分庁舎の存在感は大変大きいと思います。
地域マネージャーにはこれら行政と上手に付き合い、協力していく姿勢が求められます。
ここは非常に難しいところで、地域マネージャーに期待される役割はあくまでも集落、地域の存続と活性化です。
そこには「行政のアウトソーシング」という色は本来含まれません。
そこではむしろ、対等なパートナーとしての関係構築が求められます。

地方においては行政の存在感は大きく、集落をどうしていくか、こうしていきたい、と考え実行に移す際に行政の協力は不可欠です。

よほど腐ってれば別でしょうが、基本的に地方の行政職員は行政の立場えありながら、自身も住民ですから一緒に考えてくれる人は必ずいます。

なので、地域マネージャーは行政とうまく付き合うことが求められます。

行政もイメージできてない?

この新しい施策。実は行政も具体的にどういう進め方でいけばいいのかというイメージができていないんだと思います。
何しろ、はじめてで、現状地域マネージャーの個人資質によるところが大きいこの制度。行政としてどう関わり、どう地域と関係づくりを進めるのかイメージの共有ができていないように思います。

また、行政の中でも現場から遠い人は地域マネージャー=行政の臨時職程度の認識でしかないようなケースもありそうです。
しかし、上にも書いたとおり、地域マネージャーは行政のアウトソーシング先ではありません。

方法論は確立できるのか

最初の項目であげた「方法論」ですが、これは確立できるものなんでしょうか。
結論から言えば、確立はできると思います。「方法論」というほどしっかりしたものではないでしょうが。
例えば、地域との関係構築では
1.自治会長さんへ挨拶
2.隣近所への挨拶
3.集落の常会へ出席
4.集落活動に積極的に参加 …etc

こういう当たり前の事柄であってもきちんとマネージャーに伝え、実践してもらうことがまず必要なんだろうと思います。

成果とは

地域の活性化、集落の活性化という目標に対し、地域マネージャーを投入し、いろんな社会実験を実施し、自分たちでできる取り組みを発見、継続的にやってみるというプロセスを経ていくわけですが、インプットに対してアウトプットは大変小規模になりがちです。

よく言われるように、アウトカムでの判断が必要な気がしていますが、どこかでこれが“甘え”のような気もしており、何かアウトプットで成果があるんだと言えることができないかと思うわけですが…難しい。

正直言って、ある活動を通じて、今までなら生活することに精一杯だった地域のおばあちゃん、おじいちゃんが色々と話をしてくれるようになった、商品を出してくれるようになった、それで1回当たり1万円の収入を得るようになった、ということが小さな集落においてどれほど大きな一歩か、分かってくれよ!という思いはある。

だけど、都市部に住んでいる人にとっては情緒的には分かってもらえるかもしれないけど、思考的には「何十万のインプットに対してアウトプットが1万円?」というところは避けられない気がするし、この1万円と参加してくれるようになったという事実の大きさは理解してもらえないんじゃないか、そんな風に思うときがあります。

雑感

民主党に政権が移ったことで大きく変わる可能性があるなーと思います。
アウトプットで評価するなら、地域マネージャー、集落支援員といった制度を理解してもらうことは難しいでしょう。
となると、この制度は根付く前になくなっちゃうのかなーとか思います。

結局、民主党にとっては経済合理性から考えると地方というのは切り捨て対象でしかないのでしょうね。

ともかく、島根県の地域マネージャー事業は今年度いっぱいで終了するので、何とか地域の人が続けてやる気になれるような取り組みを展開しつつ、客観的に納得できるような「成果」が出せないものかと思案しています。
なんかいい案ないかなー。