耕作放棄地とは・・・?

今現在、耕作放棄地を含めた農地の所有と管理、今後の利用のあり方などを調査している。

今回は行政と連携しながらの調査なんだけど、当初の予想よりもかなり回収率が高いことに驚いている。

耕作放棄

そういえば、耕作放棄地という言葉が案外、はっきりしていない。
ざっくり言えばこんな感じか。

以前に耕作されていた農地で、過去1年以上耕作されておらず、さらに今後も耕作する予定がない農地

だいたい間違っていないと思う。

ただねー、これってすごい曖昧なんだよねぇ。
H集落の方と話していて、耕作放棄地の話になるとたいてい出てくる疑問が、「今後も耕作する予定がない、というけど1%でも耕作する可能性があれば、それは耕作放棄地と言えないんじゃないか?」というもの。

そうなんだよ。完全に長期にわたって放棄しているならわかるけど、例えば今年から、昨年からこの田んぼ作らなくなったよ、来年も作らないと思うよ。だけど、再来年もしかしたら息子が定年退職して戻って農業するかもね、という状況があるとしたら、それは耕作放棄地と呼べるのか?違うんだろうな。

企業の農業参入

この調査の一環で、農業参入している民間企業にも一軒ヒアリングに行った。
その中で聞いたのは、以前は順調に農作業などの受託が伸びていたらしいんだけど、ある時から農政が急激に「集落営農」に舵を切った。
それを機に、伸びていた受託が減り、いまはかなり縮小しているということ。
企業の話だけを聞いている感じだと、地元との関係もうまくいっていたようなんだけど、「集落営農」を推される以上、企業への委託という選択肢は地元でも敬遠されるようになったらしい。

この辺はぼくもまだ勉強不足だし、わからないことが多い。
だけど、大規模農地へ集約する農家は支援し、そうでない農家は支援しないというのでは、中山間地域の農業は本当に潰れてしまう。

またまたざっくりだけど、中山間地域のシェア(生産額)は米で3割、野菜で3割、果樹で4割とか、そんな数字だったように思う。*1

こういう中山間地域で農地を集約できるわけがないし、一つの集落の農地を合わせても10町(10ha)あるかないか、というのに。


だから、どうすれば良いのかというのは考えるけど難しい…。

派遣切り

ただ、いま都市部で発生している派遣切りにあった人を農村へ、というのはどうかなと思う。
一部を見て全体がそうである、とは思わないけど派遣の身分についていた多くの人は正規雇用に付きまとう「責任」とか「不自由な生活」とかがいやで、自ら「自由」や「融通が利く」派遣を選択していたんじゃないかと思う。

わずか半年だけど中山間地域、農村に暮らして感じたのは、人と人とのつながりの中で生きているということ。
それは時に、とてつもなく面倒くさいと感じることもあるし、出たくねーーっ!!って思う場面もある。

何が言いたいかというと、派遣切りにあった人の大部分は農村での暮らしが嫌になるだろうな、と。
それならそれで試してみろよ、ということもあるだろう。だけど、それは受け入れる側の地域を無視してるなーとも思う。
受け入れる方としては、地域に若いお兄ちゃん、お姉ちゃんが入って何ができるんかいのぅ、という少しの警戒心と明るくなって良いなーという歓迎とがあり、受け入れる側としても手間をかけている。
そこに来た人がコミュニケーションを拒否し、果てはいなくなる、なんてことは地元にダメージを与えるんだよね。

ダメなら帰れば良い、というのは簡単だけど、その周囲には大勢の協力者がいるということをイメージできないと。

ま、いままで農村に目が向かなかった層がいっせいに注目しているいま、パイが拡大している、ドライに言えばそういうことだし、パイが大きくなってるんだから当然、本当に良い人が含まれている可能性もあるわけで、まったくダメというわけではないんだけれども。

かく言う自分は決して地域にとって良い人ではないと思うんで偉そうに言うのはちょっとアレなんだけど。

*1:ちょっと前だから数字がおかしいかも・・・